提箸宏詩集 30/60

予約席

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雨上がりの店の
窓際のその席には
いつも予約席の立札があって
河を見ようとやってきたひとを
がっかりさせる。
誰も理由を聞いたりはしないが
テーブルのしみと
ときおりあらわれるタタリム氏だけは
知っている。
やがて立札が取りはずされ
その席を
恋人たちが占めたころ
コーヒーカップの中に
雨が最後の一滴を落とす。

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