提箸宏詩集 30/60
30/60
夜の鋏
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夜の鋏
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真夜中
切り取った日常を
一枚の台紙に
貼り合わせていく
夜の鋏は
錆びた臭いと
少しだけのりがついて
切れ味は悪い
まるで疲れた思考のようで
昨日のことさえ
つなぎ合わせることを困難にしている
いましがた妻は眠り
はしゃぎながら子も眠った
わたしは鋏をにぎり
切りすぎてしまったのりしろを
眺めている
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