提箸宏詩集 30/60

出発

前頁 / 次頁 / 再表示


出発は
雨上がり、早朝の
桜の木の下から
温もりを
ふりほどきながら
夜のなかで生まれたばかりの
魚のように
花びらを
一枚一枚
ふりほどきながら
次第に
加速し
早朝の
余韻のなかを
走る
「おはよう」
すれ違う車との
うしろめたくもある
朝の挨拶
出発は
雨上がり、早朝の
桜の木の下から
「じゃあまた」
忘れてきた言葉を
ふりほどくように

前頁 / 次頁 / 再表示

  • Facebook
  • Hatena
  • twitter
  • Google+
PAGETOP
Copyright © 30/60 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.