提箸宏詩集 30/60

朝の器

前頁 / 次頁 / 再表示


シンクの上の
水切り棚の器を
一つづつ
朝の位置に戻す
グラス
日により異なる二つ、三つ
ワインの
ビールの
棚のそれぞれありうるべき場所
手前に向け整列された最前列に
口を上に
両の手のグラスが軽く触れ合う
透明、カチッ

水切り台に
栞のように
さし挟まれた皿
食器棚
同じ器の重ねの上に
絵柄をそろえながら
あるいは異なる皿の重ねに
膝を曲げ
しゃがみ込み
まずは上に置く
挟みこむ位置を定め
重ねられた数枚を
腿の上に
上に置いた一枚を
残された皿の上に重ね
膝の上の皿たちを
戻す

伏せて重ねられた椀は
水の抱え
一つ一つ
確かめ
その形のまま
重ねる

前頁 / 次頁 / 再表示

  • Facebook
  • Hatena
  • twitter
  • Google+
PAGETOP
Copyright © 30/60 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.